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ネパールトレッキング DAY25ー27(脱出編)

【27Mar Day25 ランドルック 標高1640m 移動なし】

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当初、トレッキングの下山予定は、3/31だった。つまり、あと5日残っている。なぜ?ランドルックに来たか?実は残った5日間で、もう1コース行こうと思っていた。



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【マルディヒマール(黄緑の線)】というコースがある。今いるランドルックから、さらに上っていくコースがあって、それを行って最後の締めにしようと思っていた。その為に今まで日数を調整してきた。今日の朝までは…。


朝に村人が何人か宿にきて、「あと5日間で山は完全に閉鎖されるので、出たほうがいい」と言われた。そこでやっと、ネパールがすでにロックダウン(外出禁止令)中だと知った。トレッカーはところどころで立ち往生してるので、連絡すれば、観光局が迎えを手配してくれるらしい。僕は昨日まで、普通にトレッカーが歩いているのを見てるんだが…そんな状況になっていたとは。情報が手に入らない場所にいたこと、また個人で行動してたことで、まさかそんな状況とは、全く知らなかったよ。


この日は、動くのを止めて、幸いネットが繋がる村だったので情報収集して、今後の予定を立てることにした。急に変わった状況、変化に、日本に帰れんのでは…という恐れがやってきたけど、その心境とは逆に、宿からはとても見晴らしのいい美しい山々が見える。今まで通ってきた村々が、遥か彼方に見えて、自分が歩いてきたその点と点が繋がるのを見るのは、なんとも心地よかった。



何も変わらなかった。目の前にある山々や自然の美しさは。相変わらず、鳥はさえずり、雲は流れて、昨日と、一昨日と、その前から毎日見ていた美しさ、そのまま同じだ。ただ人間だけが、自分の心だけが、変わった…。



さあどうする?後は下るだけだ。あと2日で帰れる距離にいる。4月4日のフライトは飛ぶか分からないけど、カトマンズに行けるか分からないけど、いずれにしてもポカラに行って、様子を見ることにする。




【28Mar Day26 ランドルック 標高1640m〜ダンプス 標高1520m (↓60m) 14キロ 6時間歩く】


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これまででトレッキングは終了〜。こっからは脱出だ。だって同じ歩くにしても、気持ちと状況が180度真逆だからね。今日、泊まれるかどうか、ご飯食べれるかどうか、全く不明で、出発する。道中の村はどうなってる?ポカラはどうなってる?このまま、山にいても何も分からない。外出禁止って言ってられるか。進まなければ、状況も分からないし、たどり着かない。



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朝食はレモンシュガーパンケーキ。
ごちそうさまでした。
さあ、後は食べれるか分からんが、出発。


 

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これが最後の自撮り
村と村を繋ぐ道 
トレッカーどころか村人すら歩いてねえ…。



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村につきました。
まじかよ、こんな感じ…全部閉まってるし…。
人はいる でも全然好意的な感じしない
ジロジロ見られる 
何でまだ外国人歩いてんだって目線が刺さる



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ウェルカムって、全然ウェルカムじゃないだろ〜
どうせ閉まってるくせに〜(笑)



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次の村も、次の村も同じくクローズ
政府がロックダウンを発表したことで、人は見えない恐れを増加させる。発表前と今と何の状況も変わらないのに。見方が変わっただけなのに。その恐れが伝わるので、村全体の空気が重い…。





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もはや誰もいない道を、スイスイと
気持ち悪く(笑)、歩く、歩く。



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今までは村に着くとワクワクしていた。どんな村か?どんな人の暮らしがあるのか?立ち止まって見てみたくなる。気に入った村なら泊まってみたくなってた。


でも、ゴーストタウンのようになってしまった村に着いても、ガッカリするだけ。さあ、次、次、次となる。



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この子は道を案内してくれた犬
僕の先を行き、僕が止まると一緒に止まり、僕が歩くとまた歩きだすんだ。この騒ぎは犬にとっても、他の動物にとっても、人間は滑稽(馬鹿)に見えるだろう。彼らには、何も変わらぬ日常そのものだ。



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遠くに見えるハイウェイは、ポカラまで続いている。ハイウェイは、車が1台も動いていない。不気味だった。



6時間ほど歩いて、今日泊まろうとしたダンプスの村に着いた。村の規模は大きな村、当然宿もいっぱいある。でも、門が閉まっているか、片っ端から、宿泊拒否をくらった。そしてお昼も食べれてない。まあ、そんなこったろうと思ってたが。もう、こりゃ1晩夜通し歩けば、ポカラに着くだろうと覚悟した。残り25キロだ。行けないことはない。


ダンプスの集落を去り、さらに降りてたら、村からだいぶ離れた見晴らしのいい丘に、1件だけ宿があった。そこに駄目元で聞いてみると、宿泊OK!やっぱ離れていると、周りの目線がないから、アバウトなんだろう。そして、困難があっても、必ず助けてくれる親切な人は現れる。これが旅だ。今回、本当に密度の濃い、いい旅をしている。



一方、旅人にとって、宿、食事、移動、お金は欠かせないものだ。当たり前にできていた日常から、ある日いきなり出来なくなる。まるで、遭難だ。予測とか覚悟とか、できるもんじゃない。考えてごらん、人がいて、店があるのに、できない状況になる。そりゃあ恐ろしいよ。その場、その時で判断が迫られた。やってみないと分からないことが、沢山あった。でもこれって、凄い体験だとも思う。貴重な経験だとも思う。



【29Mar Day27 ダンプス 標高3200m〜ポカラ770m (↓780m) 25キロ 8時間歩く】


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ポカラに行けば、なんとかなるだろう。なんて、全然思えなかった。出発前にyoutubeで見たポカラの映像は、店が全て閉まっていて、外出者が次々と警察に検挙されて、連れて行かれる映像であった…。でも行くしかなかった。自力で歩いて行くしかなかった。ここにいても何も解決しないんだ。



今までで最長の25キロ。ダンプスからフェディは、30分ですぐに着いた。本当だったら、ここがゴール、ここからバスでポカラまで、楽に帰れたのに。今、フェディには、車も人もなくガランとしていた。


フェディから、サランコットを経由して、ポカラまで歩く。目の前にある山を上りきって、下る山越えルート。もうトレッキングのコースでなく、自分でグーグルマップで、決めたルートだ。ほとんど車道を歩くが、車なんて走っちゃいない。



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道中、サランコットから雪山を眺める。
今までのトレッキングの日々をしばし思い出してた。




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段々畑を抜けて




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フェディにおりていく道
この目の前にある山を越えなくちゃならない



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この4週間、ほぼ毎日、歩いてきたんだ。いろんな道、いろんな人、いろんな景色に出会えた。

これが最後のトレッキング
どんな状況でも、感謝して、楽しもうと思った。



25キロは長かった、遠くにポカラの町が見えてきても、全然たどり着かない。でも確実に近づいてきた。町に近づくと、店は閉まってるけど、人は外に出歩いていたり、バイク乗ってたり、遊んでたり、結構、外にいてホッとした(笑)みんな、それなりに、退屈して、飽きているんだ。そうなんだ、それが人間らしい。



ポカラに入ると、また外国人の姿も目にするようになった。夕方に食料調達にウロウロしていた。(レストラン閉まっているので、スーパーに買い物に行くのだ)まだポカラの町には、外国人がいっぱいいた。そして、ロックダウンを過ごしている。



ポリスの厳しい取締を想像していたが、人はそれなりに通りにいて、おしゃべりをしている。宿も商店も、一部は開いていた。その状況は、緊迫感、不安や恐れよりも、のらりくらりと、何とかなるさっていう、人々のたくましさに見えたんだ。



探している宿も開いていて、何とか部屋を確保できた。夕食は近くのレストランでテイクアウトできた。部屋で、お湯たっぷりのあつ〜いシャワーを浴び、ビールを飲んだ時の幸福感、安堵感は、格別だった。



今回のトレッキングは、これにてゴール。ベシサハールからポカラまで、道中全部歩き通した。アンナプルナサーキット〜アンナプルナサンクチュアリ、そして脱出まで、【27日間 約323キロ】歩いた。本当はもっと歩きたかったけどね。



状況は、一転した。ネパールも、世界中も、変わった。これを書いている今も、ネパール国内は、ロックダウン中、延長が続いていて、帰国の目処はまだたっていない。


いい旅をしてきた。そして、今もしている。

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